太陽光発電の売電価格は下落している?売電価格の推移を解説!
目次
自宅に太陽光発電を設置した場合、電気を発電し自家消費することができます。
さらに、余った電気に関しては、電力会社に売ることができます。
現状ではこの売電価格が、毎年下落しているのです。
それにも関わらず、太陽光発電を設置するご家庭は増えている理由は何なのでしょうか?
今回は、売電価格の推移を解説しながら、なぜ価格が下落したのか?その理由をまとめてみましょう。
固定価格買取制度とは?
太陽光発電の売電価格は、再生可能エネルギー措置法によって定められた「固定価格買取制度(FIT)」によって決まります。
この固定価格買取制度は、日本における再生可能エネルギーの普及促進を目的にして、2009年からスタートしました。
この制度がスタートする2009年以前は、余剰電力が24円で買取されていました。
それが2009年の固定価格買取制度がスタートしたことで倍の48円まで値上がり、太陽光発電の普及が促進されたのです。
さらに2012年以降は、10kW以上・10kW未満と容量で規模が区別されるようになりました。
この結果、住宅の屋根であっても10kW以上のソーラーパネルを設置し、自家消費せずに発電したすべての電力を売電するという家庭も出てきました。
2015年には出力制御対象エリア(北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力)と非対象エリア(東京電力、中部電力、関西電力)で売電価格に差をつけるように。
これは、急激な太陽光発電システム設置数の増加で、対象エリアによっては出力制御対象機器の設置が必要となり、出力制御対象機器の設置費用負担分を考慮したためです。
しかし、実際には出力制御対象機器の必要有無による設置費用には差がなかったため、2020年度以降はエリアごとの価格差が撤廃されました。
2020年度からは、10kW以上の場合、固定価格買取制度における売電単価の仕組みが変更されています。
これまでは10kWH以上の自家発電した電力全量を買取適用されていたのが、10kW以上~50kWh未満の場合には、余剰電力のみが買取となりました。
また発電した電力のうち、自家消費で30%以上を充当することが条件となったのです。
売電価格の推移
以下の表は、売電価格の推移をまとめたものです。
売電の契約年 |
売電価格(円/kWh)※出力抑制対応義務あり |
売電価格(円/kWh)※出力抑制対応義務なし |
2009年以前 |
24円 |
ー |
2009年度 |
48円 |
ー |
2010年度 |
48円 |
ー |
2011年度 |
42円 |
ー |
2012年度 |
42円 |
ー |
2013年度 |
38円 |
ー |
2014年度 |
37円 |
ー |
2015年度 |
35円 |
33円 |
2016年度 |
33円 |
31円 |
2017年度 |
30円 |
28円 |
2018年度 |
28円 |
26円 |
2019年度 |
26円 |
24円 |
2020年度 |
21円 |
21円 |
2021年度 |
19円 |
19円 |
この表からもわかるように、売電価格は毎年下がっています。
しかし、国内での買取金額や買取電力量は年々増加しており、売電価格の下落=太陽光発電の価値が下がったということにはつながりません。
どちらかというと、太陽光発電が十分普及したために、売電価格が下がったという見方ができるでしょう。
売電価格が下落した理由とは?
売電価格が年々下落している理由は何でしょうか?まとめてみましょう。
太陽光発電設置にかかる費用の低下
売電価格が下がっている理由の1つが、設置コストの低下です。
売電価格は、太陽光発電の設置にかかった費用を目安に算出されています。
太陽光発電が普及したことで、ソーラーパネルなどの部品価格が安くなっており、全体の初期設置費用が安くなっています。
2020年度の設置費用は、1kWあたり約29万円です。
発電効率の上昇
発電効率が上がると、ソーラーパネルの量が少なくても十分な電力を自家発電することができます。
ソーラーパネルが小さくなれば、土地代や設置にかかる費用は低コスト化できるので、結果として売電価格の低下にもつながります。
固定価格買取制度(FIT制度)は10年間だけ?
固定価格買取制度は、10年間です。
10年が経過したら、各電力会社や新電力会社と個別に買取の契約を結ぶことになります。
これを通称「卒FIT」とも呼んでいます。
卒FIT向けの買取価格は、各電力会社によって異なります。
以下の表は、現在の各電力会社の買取価格です。
電力会社 |
プラン名 |
買取価格(1kWhあたり) |
北海道電力 |
買取プラン |
8円 |
東北電力 |
買取プラン |
9円 |
東京電力 |
買取プラン |
8.5円 |
北陸電力 |
安心固定単価プラン |
8円 |
中部電力 |
再エネスマートプラン |
7円~12円(時間帯で変動) |
プレミアムプラン |
8円 |
|
関西電力 |
買取プラン |
8円 |
中国電力 |
買取プラン |
7.15円 |
四国電力 |
買取プラン |
7円 |
ためトクサービス |
8円 |
|
九州電力 |
買取プラン |
7円 |
沖縄電力 |
買取プラン |
7.7円 |
太陽光発電が人気の理由とは
前述した通り、売電価格は年々下がっています。
それにも関わらず、太陽光発電システムの設置件数は右肩上がりに増えている理由は何でしょうか?
その理由はずばり、収益目的で設置する人だけではないということです。
収入目的で導入する人もいますが、災害時の対策やエコ活動を目的として太陽光発電システムを設置する方も多いのです。
設置費用が安くなったことで手軽に導入できるようになり、災害リスクへの対応策として太陽光発電システムに興味を持つ人は増えています。
まとめ
太陽光発電の売電価格は、年々下落しています。
しかし一方で、太陽光発電設置にかかるコストも安くなっています。
「売電価格が下落しているから、今導入すると元が取れない」というわけではないのです。
利益をあげる目的で導入する人よりも、災害リスクへの予防策として設置する人が増えており、太陽光発電の価値は年々高まっています。